研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
グリーンランド氷床における近年の急激な雪氷質量損失のメカニズムを解明するために、研究代表者は、基課題「次世代極域気候モデル開発と広域観測によるグリーンランド氷床質量損失メカニズム解明 (若手B; 17K12817)」において、世界最先端のスペックを有する極域気候モデルNHM-SMAPを開発した。NHM-SMAPは、本国際共同研究の取り組みなどを受けて、IPCC AR7 WGIレポートで引用された他、1980年以降の氷床上において降雨が増加していることを世界で初めて示すことに成功している。本国際共同研究課題では、GrIS雪氷表面質量収支(Surface Mass Balance; SMB)研究の世界的権威であるデンマーク・グリーンランド地質調査所(GEUS)のJason E. Box教授の元に滞在して、NHM-SMAPが高い国際的認知度と信頼性を獲得するべく、各種研究活動に取り組む。2022年度は、Box教授らと、NHM-SMAPを含む複数の最新のモデル計算データを氷床上降水量の観点で比較・評価した。その際、本研究課題で実施した2019年のグリーンランド氷床上共同現地観測データを有効活用した。本成果は、イギリス王立気象学会が発行する専門誌に投稿され、現在改稿中である。また、Box教授が開発したグリーンランド氷床アルベドデータを用いてNHM-SMAPの挙動を制約する試みに引き続き取り組み、成果をAGU Fall Meetingにおいて発表した。発表では、概ね好意的な反応が得られたため、現在論文発表に向けた最終準備を共著者らと進めている。研究の推進に際しては、必要に応じて、GEUSオンサイトとオンラインにおいて研究打合せを実施した。
2: おおむね順調に進展している
代表者が開発しているNHM-SMAPがIPCC AR7 WGIレポートで引用された他、1980年以降の氷床上において降雨が増加していることをBox教授らと世界で初めて示すことに成功するなど、本国際共同研究を通してNHM-SMAPが高い国際的認知度と信頼性を獲得する、という当初の目標は概ね達成されつつある。論文発表すべき関連研究成果があと若干残っているので、それらの発表が完了すれば、当初の計画以上の進展が認められるレベルに到達するものと考えている。
2023年度は研究最終年度とする予定である。そこで、これまでの国際共同研究で得られた知見をまとめることを最優先で進めることにする。
すべて 2022 2021 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (19件) (うち国際共著 9件、 査読あり 19件、 オープンアクセス 19件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 7件、 招待講演 3件) 備考 (3件)
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