研究課題/領域番号 |
17KK0020
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
野村 奈央 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (10709588)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2023
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
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キーワード | 地域研究 / 物質文化 / 消費文化 / 民族誌 / 再洗礼派 / アーミッシュ / 宗教 / アメリカ研究 |
研究実績の概要 |
本年度は、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、現地調査の実施が年度末まで実施できなかった。そのため、2021年度に引き続き、これまでに入手した一次資料の分析および論文執筆をすすめた。これまでの研究の成果は、『「いま」を考えるアメリカ史』(2022年9月出版)、『Religion, Attire, and Adornment in North America』(2023年5月発売予定)に掲載された。 また、本研究成果のアウトリーチ活動として進めているウェブサイトについては、引き続き、ネブラスカ大学国際キルト研究所マリン・ハンソン氏(博物館学/デジタルヒューマニティーズ)の助言を仰ぎながら、オンラインで公開する資料の精査を行なった。2023年2月にはハンソン氏の来日の機会があったため、対面で意見交換をすることができた。 資料調査については、コロナ禍においてコンピューターを使用しないアーミッシュからの聞き取り調査は困難な状況で あったが、手紙や電話での近況報告および情報収集につとめた。その結果、私がこれまでの調査で観察してきた中でも、最も大きな生活様式の変化が見られた。そのため、海外渡航が可能になった際にただちに現地調査を実施できるように、アーミッシュ・コミュニティの調査協力者との日程調整を行った。その結果、2023年3月末には、約4年ぶりにペンシルバニア州ランカスター郡での約1週間の現地調査を実施することができた。今回の調査では、これまでアーミッシュ教会の規定により禁止されていた飛行機での移動が、特別な理由がある場合には許容されていることが判明し、主流アメリカ社会との境界が、これまで以上に流動的になっていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の5年目にあたる2022年度も、新型コロナウィルス感染拡大の影響を大きく受けたため、これまでに収集した一次資料の分析および論文執筆を中心に、研究をすすめた。また、年度末に短期間ではあるが、現地調査を再開することができた。具体的には、アーミッシュの学校、アーミッシュが経営する小規模ビジネス、10代から50代のアーミッシュの女性が勤務する小売業、20代の男性が勤める福祉施設等で参与観察をおこない、職業を通じた外部からの影響についての調査を実施した。さらに、調査協力者の家庭を訪れ、消費行動を含む日常生活についての聞き取り調査も行なった。渡航が叶わなかった期間におけるアーミッシュ・コミュニティでは、想像以上の変化が起きており、詳細な追加調査の必要性が急務である。来年度には長期間の現地調査を実施し、この変化の背景にある要因を探り、アーミッシュ・コミュニティとアメリカ主流社会の相関関係を解明していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
長引く新型コロナウィルス感染拡大の影響でどのように研究を進めるか苦慮していたが、本年度にはようやく現地調査の再開が可能になった。本年度、現地調査が再開できたことで、コミュニティを尊重し、個人的な意見を主張することが少ないアーミッシュとは、直接対話をし、会話の行間から見えてくる微妙な情報を得ることが重要であることを再認識した。そのため、今後も、これまでの調査で築いてきたアーミッシュ・コミュニ ティでのネットワークを利用し、アーミッシュの生活に溶け込んでフィールドノートを作成する参与観察を実施する予定である。ただし、3年に及ぶコロナ禍の影響により、共同研究者の健康状態や勤務状況に変化があったため、次年度は共同研究者の見直しを迫られている。これまでの研究交流で、本研究についても意見交換をしてきた研究者と研究を遂行できるよう、調整を進めているところである。現在は、ペンシルバニア州ランカスター郡のアーミッシュコミュニティに長期滞在し、フィールドワークを行うための日程調整を進めている。
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