研究課題/領域番号 |
17KK0035
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
宗教学
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
中野 泰治 同志社大学, 神学部, 准教授 (80631895)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2021
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
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キーワード | クエーカー / 合議形式 / 敵(異質なもの)への愛 / 沈黙 / 熟議民主主義 / M・P・フォレット / 組織論 / 計算不可能性 / 沈黙の礼拝 / 敵・異質なものへの愛 / 自由主義クエーカー / 民主制への応用 / 社会学的分析 / 合意形成論 / M. P. フォレット / フレンド派 / ネオ・ヘーゲル主義 / キリスト教的愛 / 愛における一致 / 民主制への応用可能性 / 合意形成 / 社会形成 / 教会論(組織論) / 政治学的分析 / 思想的分析 |
研究成果の概要 |
現代のクエーカーは基督教系とユニバーサリスト系に分かれる。前者は、敵への愛の精神において異質な意見に最後まで開かれることを良しとする。他方、後者は、啓蒙主義的な寛容精神のもと、異質な意見にオープンである。その点で合議に関する解釈は違えど、意思決定過程において実質的な相違は生じない。またクエーカー自身が認めるように彼らの合議形式は、20世紀初頭の社会学者M・P・フォレットの組織論と相似である。そのため、彼女の組織論を分析し、クエーカーに独自な要素、つまり沈黙の活用を考察することで、クエーカーの合議形式が、計算によるものではなく、計算不可能な領域に対する開けを考慮に入れたものであることが分かる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
クエーカーの合議形式は、現在、世俗組織でも合意形成のフレームとして利用されているが、彼らの合議は、大まかに言って、熟議民主主義の議論に沿うもので、またハーバードやMITで提唱される合意形成学の知見とも重なるところが多い。しかし注目すべき点は、彼らの合議形式の特徴は、沈黙の礼拝でもあるということである。合議の過程に「沈黙(自己の否定)」を取り入れることで、自分の狭い視野から抜け出て、すべての人の言葉、また小さき声をも愛をもって聞きいれることで、全体の一致を最後まで探るわけである。多数決や議論の力によって合意が左右されるがちな現在、彼らの合議形式は、異質な声への歓待の場を提供するものとなりうる。
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