研究課題/領域番号 |
17KK0040
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
経営学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宇田 忠司 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (80431378)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2023
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
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キーワード | コワーキング / コワーキングスペース / 組織スペース / 身体 / 実践 / 空間 / コラボレーション / ソーシャルメディア / 経験 / コンテクスト / コミュニティ / 認知 / ワークスペース |
研究実績の概要 |
今年度の主な成果は,"Producing the organizational space: Buddhist temples as co-working spaces"である。本論文は,現象学と組織論との関係に着目したOxford University Pressのハンドブックに掲載された。 本論文の目的は,寺院を活用したコワーキングの関係者の実践によって当該空間がどのように生成されたかを明らかにすることである。具体的に,寺コワーキングの立案・運営者と利用者の経験に関する聞き取り調査と公表資料をもとに,当該スペースがどのように認知・設計され,実際に利用されたか,また利用者の実践により当該空間がどのように再生成されたか,が検討された。主な結果は次の通りである。まず,寺コワーキングは,登録ワーカーと直接交流する場を求めていた在宅就労支援事業者とその知人の住職という寺院空間に関する知識や経験に大きな差異がある立案者によって共創された。寺院に馴染みのなかった利用者は当該空間を肯定的に捉え,場や状況に即した体勢や振る舞いをもとに心地良い空間を経験・形成していった。また,立案・運営者の想定を超えて,利用者は仕事空間としてだけでなく,地域の人々が集い交わる社会的空間としての寺院の可能性(寺院の存在意義に関わり,かつて地域共同体で広く認知されていた)を見出した。さらに,利用者は,広大で隅々まで美しく整えられ,歴史や伝統を帯びた畳などの建材や仏具などから成る非日常的空間に新鮮さや心地良さを感じ取る一方,(非日常的あるいは聖的であるがゆえに)そこで生成される雰囲気を通して自らの居住まいを意識的・無意識的に正そうともしていた。 本成果の意義は,コミュニティ型ワークスペースに関する経験的研究が不十分ななか,仕事実践や組織スペースの再考や精緻化に資する知見を提示したことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記区分の理由は,COVID-19の影響により研究計画の大幅な変更を迫られたが,状況に即して見直した計画をほぼ遂行できたからである。 具体的には,(1)本研究テーマに関する理論研究 (とくに組織スペースやワークプレイスに関する理論的・実践的展開の整理や現象学的アプローチという方法論のレビュー),(2)公表資料と聞き取り調査にもとづく経験的研究,(3)オンラインでの国内外の研究者等との議論にもとづく研究枠組や分析の精緻化,に取り組んだ。 これらの成果の一部としてまとめられたコミュニティ型ワークスペースに関する経験的研究論文は,上述の通り,現象学と組織論の関係に着目したOxford University Pressのハンドブックに掲載された。 以上から,本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
依然として,海外での「質的調査」にもとづく事例研究の遂行や,質的研究の知見を援用した量的調査の設計・実施は容易ではないと考えられる。したがって,基本的には,引き続き国内で遂行可能な理論研究や質的・量的調査に取り組むこととする。なお,状況の変化に応じて,本研究目的を可能な限り達成できるよう適宜計画を見直す。 研究活動を推進するための方策として,今後も国内外の研究者や実務家(調査協力者も含め)とオンラインで交流することが挙げられる。幸い,メンバーとして所属するResearch Group on Collaborative Spaces(RGCS: 当該スペースにまつわる現象に関心のある研究者や実務家から構成される国際ネットワーク組織)は積極的にオンラインのセミナーやワークショップ等を開催している。また,これまでの活動を通して,コミュニティ型ワークスペースの運営者や利用者との結びつきも質的・量的に向上している。そのため,経営学や社会科学領域の先端的かつ示唆に富む理論,方法論,当該スペースに関する経験・実践等に関する情報・意見交換やデータ収集をおおいに期待できる。
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