研究課題/領域番号 |
17KK0122
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
生物機能・バイオプロセス
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
山崎 智彦 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー代行 主幹研究員 (50419264)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2021
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | ヘモゾイン / アジュバント / ヘム / 酵素合成 / マラリア / アジュバンド / 免疫活性化 / ポリマー |
研究実績の概要 |
本研究では、動物由来成分を含まないヘム含有ポリマーを開発し、免疫賦活化剤としてワクチンアジュバントへの応用を目指す。マラリア原虫により生産される疎水性ヘムダイマー集合体であるヘモゾイン結晶がトール様受容体9(Toll like receptor-9: TLR9)のリガンド分子として機能することが報告されている(Cell Host & Microbe 7, 50-61, 2010)。申請者は、新規免疫活性化剤の開発とヘモゾインの免疫活性化機構の解明を目的として、ヘモゾインの構成最小単位であるヘミンを修飾した水溶性ヘム含有ポリマーの開発と評価を進めている(Int. J. Nanomedicine, 13, 4461-4472, 2018)。ヒトとマウスの免疫細胞を用いた評価で、開発した水溶性ヘム含有ポリマーは免疫活性化能を示す結果が得られており、今後ワクチンアジュバントとしての医薬応用が期待される。しかしながら、原料となるヘミンは動物血液から調製された物質であるため、ウィルス感染の危険性や宗教上理由から実用化に課題が残る。この問題を解決するためにスウェーデンLund大学のLeif Bulow教授との国際共同研究によりの植物により組換え生産したヘモグロビンならびに微生物が生産するヘミンを水溶性ヘム含有ポリマーの原料として用いることを目指す。 本年度は、新型コロナウィルスの感染の広がりの影響で渡航ができなかった。そのため、豚血液由来の市販へミンを原料として、マラリア原虫においてヘムからヘモゾインの合成に関与しているヘム無毒化酵素(Hemozoin detoxification protein (HDP))を用いたヘモゾインの酵素合成を実施した。酵素合成ヘモゾインを免疫細胞を用いてその機能を評価したところ、免疫活性化を誘導するサイトカイン類を誘導することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スウェーデンルンド大学へは2020年2月から渡航予定であったが、新型コロナウィルスの感染の広がりの影響で渡航を延期した。2020年度はスウェーデンの感染状況をから渡航が不可能であった。今後の感染状況を見極め、可能であれば2021年度下半期での渡航を検討している。 そのため、日本で実施できる研究内容として、市販の動物由来へミンを用いて免疫活性化ヘムポリマーならびに酵素合成ヘモゾインを合成し、免疫細胞と実験動物での評価を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
実験計画では、(1)スウェーデンルンド大学において植物ならびに微生物由来のヘムを調製、(2)そのヘムを原料に水溶性ヘム含有ポリマーならびにヘモゾインを合成し、細胞ならびにマウスを用いた評価を日本で実施する。(3)その結果をフィードバックしてLund大学でヘムの調製について、最適化を実施することを計画していた。 しかしながら、新型コロナウィスの世界的蔓延の感染状況を考慮して研究の進め方を再検討した。2021年度上半期までに動物由来ヘミンを用いて合成した免疫活性化ヘムポリマーならびに酵素合成ヘモゾインの細胞と実験動物を用いた機能評価に重点を置いた研究を日本で実施する。2021年度下半期に渡航し、植物・微生物由来のヘムを調製し、そのヘムを原料として免疫活性化ヘムポリマーならびに酵素合成ヘモゾインを合成し、物性評価を実施する。動物由来ヘミンにかわって非動物由来ヘムが免疫活性化剤の原料として用いることができることを示す。
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