研究成果の概要 |
希少性の高い海洋細菌を利用した培養条件検討と二次代謝産物のLC/MS解析に基づいて, 新規代謝産物の生産が期待される菌株の選別を行った. その結果, 海洋放線菌Micromonospora sp. CNS697株の培養液中に新規staurosporine類縁体を, 海洋細菌Bacillus sp. CNS660株の培養液中に新規macrolactin類縁体を低収量ながら検出した. また, サンディエゴと沖縄県で分離した海洋糸状菌計22株に対し, 種々の条件下で培養したライブラリーを生物活性でスクリーニングしたところ, 抗真菌活性を有し, 特徴的なHPLCプロファイルを示す菌株を6株見出した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
海洋資源を探索源とした天然物化学研究はスキューバダイビングの普及と共に発達した歴史の浅い分野であるが, ハラヴェンやヨンデリスといった海洋生物由来の抗がん剤が日本においても既に認可されている. これらに続く医薬シードの提供が期待される海洋微生物を対象に, その物質生産能を効率的に活用する手法探索に本研究では取り組んだ. 本検討から得られる成果により, 海洋微生物二次代謝産物の多様性拡大が牽引され, 医薬分野に重要な創薬シーズの発展に繋がることが期待される.
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