研究課題/領域番号 |
17KK0178
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
物理系薬学
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 (2018-2022) 愛知学院大学 (2017) |
研究代表者 |
高橋 知里 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (50574448)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2023
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
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キーワード | 電子顕微鏡 / 液中観察 / 放射光 / バイオフィルム / ドラッグデリバリー / バイオセンサー / 高分子 / 金属ナノ粒子 / 有機無機複合粒子 / ナノ材料 / XAFS / 菌 / 反応場 / 金属 / ナノ粒子 / 製剤 / 液体観察セル / その場観察 / カソードルミネッセンス / 有機無機複合製剤 / バイオフィルム感染症 / 相互作用 / 製剤設計 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、基課題である「高分子ナノ粒子キャリアの病原体との相互作用の可視化のための電子顕微鏡評価法の開発」研究を発展させ、①バイオフィルム感染症治療のための有機無機複合製剤の設計をするとともに、②作製した製剤の最適化のため最先端の電子顕微鏡群及び放射光を用いた評価系の確立を進めるものである。 2018年度は国内で有機無機複合製剤の設計法を確立し、調製した製剤の抗菌活性評価や形態観察、化学結合状態、構造評価を行った。2019年度は、受け入れ先であるフランスのパリディドロ大学にて、液中観察ホルダーを用いて有機無機複合製剤への電子線ダメージが少ない観察条件を導くことに成功している。2020-2022年度は、コロナウィルスの事態のために海外渡航ができず、予定をしていた国際共同研究が実施できなかったため、新規観察法の確立が難しかった。そのため国内において、今年度はターゲットであるバイオフィルム形成菌の様々な環境下におけるイオフィルム形成機構を明らかにした。さらに、国内の研究協力者(OIST Prof. Amy Shen)と協力し、バイオセンサーを用いて金属微粒子が菌にもたらす酸化ストレスの測定を実施した。また、クライオ電子顕微鏡を用いた高分子製剤の評価を実施した(OIST 菅野亮博士)。また、研究協力者が開発を進めている液中観察が可能なセルを用いて製剤および菌のイメージングの可能性を探った(NIMS 竹口雅樹博士)。2023年度にはdiamond light resource施設に滞在し、液中TEMに加えて放射光を用いた分光分析とイメージングにより、ターゲットに対する有機無機複合製剤の動的挙動・製剤効果を明らかにする。実験はdiamond light resource施設にて進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度に渡航先のパリディドロ大学にて得られた条件(電子線に弱い高分子材料の電子顕微鏡評価に適した溶媒、観察条件など)を元に、渡航先のパリディドロ大学に渡航し再現性実験を行い、評価法の確立を実施する予定であった。しかし、2020-2022年度はコロナウィルスの状況下にあり、海外渡航および海外での研究活動が難しい状況にあったため、液中TEMを用いた観察手法の最適化・確立を進めることができなかった。そのため、2022年度は国内の研究協力者と研究を進めた。2023年度にパリディドロ大学への渡航を予定していたが、先方の都合により滞在が難しくなったため、2023年度にはdiamond light resource施設に滞在し、液中TEMの研究を進めるとともに、放射光を用いた分光分析とイメージングを実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウィルスの状況により、現在、当初の予定よりも「液中観察ホルダーを用いた有機無機複合製剤の電子顕微鏡評価法の確立」の実験が大幅に遅れているため、2023年度も延長して新たな渡航先であるdiamond light resource施設にて実験を継続する予定である。コロナウィルスの事態が落ち着いたため、diamond light resource施設にて2019年度に渡航先のパリディドロ大学において見出した実験条件を元に再現性実験を行うことで評価法の確立を進める。また、評価法が確立できた後には、「様々な液中における有機無機複合製剤の動的挙動の可視化」を進め、これまでにない製剤の動的な評価・液中での局所分析を実施する。また、放射光を用いた分光分析とイメージングを実施し、化学状態を明らかにすることで、電子顕微鏡と放射光を用いた分光分析のそれぞれの強みを生かしたマルチスケールでの製剤の菌への抗菌効果評価を進めていく。 海外滞在中は、国内の研究協力者に、「新規有機無機複合製剤のバイオフィルム形成菌に対する抗菌活性評価および毒性評価」、「新規有機無機複合製剤の物性評価」、「新規有機無機複合製剤の引き起こす菌の酸化ストレス定量評価」を依頼する。得られた成果は、随時、論文および学会にて発表する予定である。
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