研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
我々は皮下脂肪組織より高効率に褐色化する、新規の脂肪組織を発見し、iBAT (inducible BAT)と命名した。そして、寒冷曝露によりiBAT特異的に発現誘導される35個の遺伝子(CIG1-CIG35)を同定した。この中のCIG1は寒冷曝露によりiBATで最も発現が増加した遺伝子であり、CIG1はヒトiPS細胞から褐色脂肪細胞への分化誘導時には一過性の発現上昇が見られた。一方、寒冷曝露後にはiBATではUCP1陽性細胞にCIG1の遺伝子発現が誘導された。従って、CIG1は発生初期の脂肪細胞の分化とiBATの寒冷曝露時の褐色化という、2つの異なる機能を有することが示唆された。
今や全世界中で人口の多くが肥満を有しており、糖尿病、高血圧、動脈硬化など深刻な生活習慣病を引き起こす。しかし、脂肪エネルギーを熱に変換する褐色脂肪細胞を活性化することにより、肥満やインスリン抵抗性が改善することが知られており、これらの褐色脂肪細胞はヒト成人でも寒冷暴露により活性化することが報告されている。我々が発見した高効率の褐色化を示す新規脂肪組織での分子機序から遺伝子CIG1が脂肪細胞の分化や褐色化に重要であることが示されたことは学術的に意義が大きい。さらにもしCIG1を皮下脂肪細胞に発現誘導することにより、皮下脂肪の褐色化が誘導できれば新規の肥満治療戦略となる可能性がある。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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