研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
効果的な抗がん剤が開発され一定の成果を挙げているものの、完全寛解に向けては耐性細胞の出現が大きな障壁となっている。これまでに複数の耐性機構が報告されており、標的分子の二次変異から関連経路の変異、薬物代謝経路の増強といったものから、細胞が静止状態に入ることで薬物の影響を免れるケースもある。遺伝子変異など耐性獲得の要因が明らかな耐性に対しては、新規薬剤を開発することで対処できる場合がある一方、静止状態に入って薬剤効果を免れた場合には、広範な薬剤耐性を獲得するケースが報告されており、その機構解明が急務である。本研究では、後者の薬剤耐性が均質な細胞集団から発生することに着目し、画像解析から一つ一つの細胞を特徴づけ、その発生要因の解明に取り組む。画像解析から細胞の形態や集団環境を定量化すると共に、スイスの共同研究者が開発した繰り返し免疫染色法を用いて細胞内タンパク質の発現量、分布を測定する。均質な細胞集団における不均質性を明らかにする事で、薬剤耐性を獲得する細胞の特徴づけに迫る。現在はクローン化した肺がん由来細胞株を用いて集団内の細胞を一つ一つ特徴づけ、解析を進めている。染色シグナルと細胞ごとの状態・集団環境を関連づけ、その相関関係を含めて解析を進めている。今後、観察した分子の中から生細胞で観察可能な分子を選定し、耐性細胞出現との関連性を解明する。なおコロナ感染拡大による影響で制限があったため、実験は主に国内で進めている。
4: 遅れている
肺がん由来細胞株のクローン化、および耐性細胞を誘導する実験系を確立し、細胞一つ一つについて画像解析による特徴づけを進めている。特徴づけには細胞の形態や位置から得られる情報に加え、繰り返し蛍光免疫染色によるタンパク質の発現情報から解析している。並行して、化合物ライブラリーを用いて耐性細胞の発生に影響する化合物の選定を進めている。なおコロナ感染拡大防止のため大学より渡航制限がでており、海外での研究実施が困難なため、国内での実験実施とクラウドベースでの解析を活用している。
渡航制限が緩和・解除されたため、主に国内で行ってきた実験結果についての打ち合わせや必要な追加実験を進める。実験自体は継続して国内で進め、解析はクラウドベースで進める。
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BioRxiv
巻: -
10.1101/2021.04.16.440090
Biochim. Biophys. Acta. Mol. Cell Biol. Lipids.
巻: 1864 号: 9 ページ: 1214-1225
10.1016/j.bbalip.2019.05.004