研究課題
基盤研究(B)
北米と日本のトゲウオ20集団以上の全ゲノムシークエンスを実施した(各集団約10尾)。それぞれの個体について約10倍のカバレージの全ゲノム配列を得た。異なるエコタイプ間での遺伝子流動率を計算したところ、様々な程度の遺伝子流動率の低下(生殖隔離)を示していたことから、種分化連続体の研究システムを得ることができた。ついで、遺伝子流動率と組換え抑制領域との間に有意な強い相関を得た。また、エコタイプ間の違いに関与する遺伝子座では、エコタイプ間での遺伝的分化が進んでいた。また、いくつかの染色体構造の変異らしき部位も同定した。
生物に見られる重要な特徴の一つは種分化である。種分化とは一つの共通祖先から、枝分かれによって分化した集団が生じ、生殖隔離によって違いが維持されるに至る連続的な過程である。換言すると、生物が多様化しつつ、均一なものへとマージしてしまわない仕組みの解明が、生命の理解に必須である。研究代表者らはこのような連続的な種分化過程を研究するのに最適な系を確立した。また、種分化を促進する要因として組換え抑制の進化が重要であることを示した。これら組換え抑制の進化に染色体構造変化が関与していそうである。本成果は、種分化を促進する要因に、重要な洞察を与える。
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Philosophical Transactions of the Royal Society B: Biological Sciences
巻: in press
Journal of Evolutionary Biology
Evolutionary Ecology Research
巻: 20 ページ: 51-67