研究課題
基盤研究(C)
幼生尾の液胞化した棒状支持組織としての脊索が、細胞内の液胞の膨圧と、脊索を覆う細胞外基質層(脊索鞘)の強度との釣り合いによって自己組織化されるという仮説(「液胞膨圧ー脊索鞘強度平衡モデル」)を提唱した。このモデルを検証する一環として、脊索特異的細胞外基質要素の一つであるケラタン硫酸について、その生合成に必須の硫酸化酵素として、Chst3およびChst6を同定した。また、脊索動物における脊索構成要素の保存性を検討するため、頭索動物ナメクジウオを用いた発現解析を行った結果、caveolin, calumenin, leprecanなどが祖先的脊索構成要素として働いてきたことが示唆された。
【学術的意義】脊索は脊椎動物を含む脊索動物を特徴づける器官だが、その細胞生物学的な性質を俯瞰的にとらえた研究は少ない。本研究で提唱した「液胞膨圧ー脊索鞘強度平衡モデル」は、これまでの知見を合理的にまとめた優れたモデルであり、今後その詳細な分子メカニズムの解明が期待される。また、ナメクジウオの遺伝子発現パターンを明らかにし、祖先的な脊索構成要素の一部を明らかにできたのも大変意義深い。【社会的意義】脊索遺残組織は椎間板髄鞘としてヒト成体にも存在し、その損傷は腰痛などの原因となる。また、椎間板髄鞘から生じる腫瘍(脊索腫)が希少疾患として知られている。本研究はこれらの疾患研究の基礎となりうる。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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