研究課題/領域番号 |
18013004
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
水上 裕輔 旭川医科大学, 医学部, 助教 (30400089)
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研究分担者 |
前本 篤男 旭川医科大学, 医学部, 特任講師 (40400113)
佐藤 一也 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50360988)
伊井 正明 理化学研究所, 先端医療センター・血管再生研究グループ, 研究員 (10442922)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
11,600千円 (直接経費: 11,600千円)
2007年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2006年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | がん / 血管新生 / 血管内皮前駆細胞 / Sonic hedgehog |
研究概要 |
成人末梢血から分化誘導培養によって得た血管内皮前駆細胞(EPC)を用いて、がん細胞とEPCの相互作用の分子機構を解析した。膵がん細胞はEPCにおけるPTCH1の発現を促し、腫瘍血管新生におけるHedgehog(Hh)経路の関与が示唆された。Sonichedgehog(SHH)を過剰発現させた293細胞のconditioned medium(CM)はEPCにおけるVEGFやAng-1などの血管新生因子の発現を顕著に増強した。さらに、SHHを高発現するヒト膵がん細胞株由来のCMもEPCにおけるVEGFを誘導し、これは中和抗体ならびにcyclopamineなどHh経路の阻害により抑制された。同時に、CM刺激を施したEPCとHUVECとのco-cultureによる管腔形成の促進効果もHh阻害によって抑制された(Cancer Sci2008)。一方、ヌードマウス皮下腫瘍モデルをcyclopamine処理することで、腫瘍縮小のみならず血管新生が著しく抑制された。GFPマウスをドナーとした骨髄移植ヌードマウスを用いて同様の実験を行い、腫瘍内へのEPCをはじめとする骨髄由来細胞の動員が減少することも確認された。また、Hh阻害により腫瘍血管の狭小化・断片化がみられ、SHHはEPCを介して腫瘍血管の成熟過程に関与することが示唆された(投稿準備中)。ヒト膵癌では、癌細胞のみならず腫瘍血管内皮細においてもPTCH1の発現が認められることから、SHHは重要な治療標的となると考えられる。 腫瘍血管を含むがん微少環境の形成には骨髄が深く関与しており、これらの適切な制御にはその成り立ちの理解が鍵となる。現在、異なる癌腫間でみられるEPCの活性化機構の違いを網羅的な解析を進めると共に、がんと骨髄とのクロストークの分子機構の解明するモデルを構築している。
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