研究課題
特定領域研究
本研究は、細胞がん化に重要なWntシグナルの伝達因子Dishevelled (Dv1)に結合する新規因子として見つけたnucleoredoxin(NRX)の機能、またがん化への関与について調べることを目的としている。生物個体レベルでのがん化について調べるためNRX遺伝子ノックアウトマウスを作製したが、ホモマウスは出生直後に死亡した。この原因を調べたところ、頭骨の形成異常が認められた。細胞を分取して解析すると、骨芽細胞の数がコントロールと比較して増加していることが判明した。また個体の生死に深く関わる器官である心臓において左右の心室を隔てる隔壁部位の形成が不全になっていることも明らかとなった。これらの異常がどのようなメカニズムで起こるのか現在のところ不明であるが、非常に興味深い結果を得ることができた。また個体レベルでがん化との関連について調べるため、p53ヘテロマウスとの掛け合わせを行い、ダブルヘテロマウスの作製も行っている。Wntシグナル伝達の抑制に重要な、NRXとDvlの結合に関して詳細な解析を行った。その結果、NRXの活性中心内にある二つのシステインのうちC末側のシステインが結合に必須であった。しかし、一般に反応性が高いと言われているN末側のシステインはセリンに置換しても結合性は変わらなかった。このことは、Dv1と複合体を作った状態でもNRXは酸化ストレスに応答できることを意味しており、ストレス応答性のWntシグナル伝達制御における役割をより明確にすることができた。一方、NRXの新規結合蛋白質の探索を行ったところ、がん化に重要と言われている脱リン酸化酵素が見つかってきた。いくつかの脱リン酸化酵素は活性中心のシステイン残基が酸化修飾を受けることが知られており、NRXとの機能的関連が示唆された。
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