研究課題/領域番号 |
18013016
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
入村 達郎 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80092146)
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研究分担者 |
中森 正二 国立病院機構大阪医療センター, 臨床研究部・分子医療室, 室長 (70294080)
奥村 明彦 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70288512)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
13,400千円 (直接経費: 13,400千円)
2007年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
2006年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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キーワード | 大腸癌 / 胃癌 / 肝転移 / レクチン / ASGPR |
研究概要 |
本研究ではヒト及びマウス胃癌及び大腸癌細胞において、肝実質細胞に発現するC型レクチンASGRの機能が転移形成に重要であることを分子レベルで検証すること及びこれを肝転移の治療に役立てることを目的とした。具体的には、ASGRと結合する責任分子を同定してその分子機能を明らかにすることによりカウンターレセプターとして確立する、その発現及び構造変化(グリコフォーム等)と癌の進行及び悪性挙動との関係を究明する、このレクチンの低分子リガンドであるガラクトースを用いてマウスにおいて転移形成の抑制を試み治療薬としての可能性を実験的に検証する、などであった。2年間の研究期間及び6ヶ月の延長期間に以下の結果を得た。 ASGPR遺伝子を欠損させたマウスにおいて、大腸癌の実験的肝転移が有意に低下すること、ASGPRの競合阻害物質であるガラクトースの投与によって、肝転移が抑制されることを示し、マウス実験モデルにおいてASGPRとの相互作用が転移促進因子であることを証明した。またこれがASGPRを介する細胞接着による細胞増殖の促進によることを示した。ASGRを介して接着した状態ではヒト大腸癌細胞が複数の抗癌剤に対する耐性が上昇していることを示す実験結果を得た。ヒト胃癌細胞株を用いて表面へのASGPR結合性によって細胞選別を行いASGPR高結合細胞と低結合細胞とを得た。高結合性細胞はヌードマウスに於ける実験的な肝転移性が低結合性細胞より著しく高かった。即ち胃癌の肝転移機構についても、ASGPRの重要性が示された。胃癌細胞表面のASGR結合分子をASGRアフィニティークロマトグラフィーによって精製し、プロテオミックス解析によって、主要な画分がラミニン5:1:1:であることを明らかにした。この分子の発現がヒト胃癌の悪性挙動と関係することは既に推定されていたが、ASGRとの相互作用に介在するというメカニズムが初めて明らかになった。パラフィン包埋ヒト大腸癌組織及び胃癌組織に於いて、リコンビナントASGRの結合性が組織学的に検出され、上記の相互作用の重要性を臨床的に示す基盤が築かれた。
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