研究課題
特定領域研究
がん細胞の浸潤・転移は、がんの治療を困難にしている最大の要因であり、このがん細胞の浸潤・転移に深く関連のある細胞接着や運動の仕組みを解明し、その仕組みに関わる分子をターゲットとした治療法を確立することが望まれている。がん細胞の浸潤・転移に深く関連のある細胞接着や運動に関して、Rhoファミリーの低分子量G蛋白質の関与がこれまでにも数多く報告されている。最近Dock180に代表される、新しいタイプのRhoファミリーG蛋白質活性化因子(Dockファミリー)の存在が明らかになった。我々はこれまでに、RhoファミリーG蛋白質の1つRhoGがその標的蛋白質ELMOを介してDock180を活性化することを見出した。今年度はRhoGの新たな機能を探る目的で、RNA干渉により内在性のRhoGの発現を特異的に抑制させたHeLa細胞を樹立し解析を行った。HeLa細胞はヒト子宮頸ガン由来細胞株であり、in vitroおよびin vivoで接着非依存的に生存および増殖が可能で、anoikis耐性であることが知られている。ところがRhoGをノックダウンさせた細胞では浮遊状態にて培養すると細胞死が起こり、anoikisの割合が増加することを発見した。このときヒトRhoGに対するRNAiの影響を受けないマウスのRhoGをRhoGノックダウン細胞に発現させると、HeLa細胞のanoikis耐性能が元に戻ることがわかった。このことから、RhoGはHeLa細胞におけるanoikisの制御に重要であることがわかった。またRhoGによるanoikisの抑制はPI3Kの活性が重要であることがわかった。以上の結果から、RhoGががん細胞のanoikis耐性能に重要な役割を担っていることが考えられる。
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