研究概要 |
研究代表者等は、ES細胞を用いて血管および心臓の分化研究を行い、心血管分化過程を細胞レベルで経時的系統的に解析できる新しい分化システムを構築した(Nature,2000)。本研究は、我々の系統的ES細胞分化誘導システムを用いて、包括的に内皮細胞多様化機構を明らかにし、腫瘍血管リンパ管に対する新しい抗がん治療戦略を開発することを目的とする。1)動静脈リンパ管内皮特異的分化誘導法の確立、2)同分化系を用いた動静脈リンパ管分化機構の解析、3)内皮分化多様化過程における遺伝子プロファイリング、4)分化過程における遺伝子機能解析系の構築と同定候補遺伝子機能解析。5)同定遺伝子の腫瘍血管等における意義の解析、の5項目の研究を行う。 昨年度までに、1)動静脈内皮細胞分化と動脈内皮分化の定量的評価及び誘導動脈内皮細胞の純化に成功した(Yurugi-Kobayashi,Arterioscler Thromb Vase Biol,2006)。2)リンパ管内皮分化誘導法の開発と純化に成功した(Kono,Arterioscler Thromb Vase Biol,2006)。本年度は、3)内皮分化多様化過程における遺伝子プロファイル:1)2)で純化した種々の細胞群からRNAを抽出し、遺伝子プロファイルを作製した。5)内皮細胞多様化機構の解明:昨年度4)にて構築したRNA干渉を用いたES細胞における遺伝子機能阻害のシステム(Hiraoka-Kanie,Biochem Biophys Res Commun,2006)を用いて、3)で同定した遺伝子群の機能解析を進めている。5)ヒトES細胞を用いた血管多様化機構の解析:ヒトES細胞を用いた実験を開始し、動静脈リンパ管内皮分化誘導系の構築を進めている。
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