研究課題
特定領域研究
1)分子標的剤の作用機序の解析a)細胞株パネルから代表的なDNA修復欠損株、今回2重鎖切断に特異的に欠損を示す、Rad54欠損、Brca2欠損、Ku70欠損株を用いて、プロテオゾーム阻害剤の作用点を同定した。細胞をプロテオゾーム阻害剤(ボルテオゾミブおよびラクトスタチン)で処理した後、放射線により2重鎖切断を誘導し、その修復速度をリン酸化ヒストンH2AXのフォーカスで調べると、未処理群に比べ処理群ではその修復速度が優位に低下していた。2重鎖切断基質を用いて組換え能を調べると、処理群ではRad依存性の相同組換え能が特異的に低下しており、Ku依存性の非相同組換え能は正常に保たれていた。さらに処理群では放射線照射後のRad51フォーカスの形成がほとんどみられなかった。一方、処理細胞でも2重鎖切断の初期に誘導されるリン酸化ATM、リン酸化H2AX、リン酸化SMC1集積は、放射線およびレーザー照射法にて正常に保たれており、一本鎖に集積するRPA、ATRの集積が処理細胞では低下していることがわかった。これらのことから、プロテオゾーム阻害剤の作用点は従来考えられていた、NK-kappaBを介する経路以外に、相同組換えを抑制することで殺細胞作用を発揮していることが示され、放射線治療とプロテオゾーム阻害剤の併用で相乗効果が期待できることが示唆された。2)修復遺伝子SNPの機能評価今回、相同組換えに関与するXRCC2, XRCC3, RAD51のCaucasianにみられるSNPを選び、それぞれXRCC2-/-, XRCC3-/-, RAD51-/-DT40細胞に導入し、抗ガン剤シスプラチンに対する感受性を野生型のそれと比較した。今回調べた3種類の相同組換えに関する遺伝子のSNPは、薬剤感受性に関して野生型とほぼ同様な機能を示した。興味深いことに、XRCC2のSNP(188His)シスプラチンに対して野生型よりさらに耐性を示した。これら変異を持つ個人は、シスプラチンによる化学療法に耐性を示す可能性があり、より高濃度での薬剤使用が可能ではないかと考えられた。
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