研究課題/領域番号 |
18015048
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
馬島 哲夫 財団法人癌研究会, 癌化学療法センター・分子生物治療研究部, 研究員 (30311228)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
2007年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 脂質代謝 / アポトーシス / 分子標的治療 / 癌 |
研究概要 |
脂肪酸合成経路は、癌の生存や増殖に関与し、新しい癌分子標的と考えられている。申請者は、難治がんにおける新しい分子標的として脂肪酸代謝酵素Acyl-CoA synthetase (ACS)に着目して研究を進めている。また新たなACS阻害剤の検索を進めた。前年度までに、ACS各種アイソザイムの癌生存における役割を検討するため、レトロウイルスベクターを用いて、安定発現細胞樹立を試み、癌で発現亢進の認められるACS5の過剰発現株を複数の癌細胞で取得に成功した。ACS5を過剰発現した癌細胞は、種々の化学療法剤に対して抵抗性を示したが、特に顕著な現象として、癌の微小環境ストレスの中でも低pHストレスに対して、ACS5発現が耐性を付与することがわかった。このACS5依存性の低pHストレス耐性は、ACS5の不活性変異体では認められないことから、ACS活性依存的と考えられた。ACS5依存的なストレス抵抗性の分子機構を明らかにするため、さらに我々は、cDNAマイクロアレイ解析により、ACS5依存的な遺伝子発現を同定した。その結果、ACS5はある種の増殖因子発現誘導に関わることを見出した。また、ACSがミトコンドリア依存的アポトーシスに対して抑制的機能を示すことを前年度までに見出していたが、ACS阻害が抗がん剤エトポシドによるカスパーゼ活性化を相乗的に引き起こし、細胞死誘導を増強することを見出した。さらにヌードマウス移植腫瘍による検討を行ったところ、ACS阻害剤が抗がん剤エトポシドと併用効果を示すことを明らかにした。一方、ACS阻害化合物をスクリーニングするため、high throughputに行なうことが可能なACS assay系を前年度までに構築した。このassay系を用いて、いくつかの新たなACS阻害化合物を見出した。これらの化合物による抗腫瘍効果等の検討については今後の課題である。
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