研究分担者 |
伊達 朋子 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 研究員 (40392360)
森川 賢一 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 協力研究員 (60384377)
相崎 英樹 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (00333360)
村上 恭子 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (30399456)
石井 孝司 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (40280763)
溝上 雅史 名古屋市立大学, 大学院医学研究科・臨床分子情報医学, 教授 (40166038)
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研究概要 |
遺伝子治療をおこなうためには標的とする細胞に効率よく遺伝子を送り込む技術を開発する必要がある。このためにウイルスベクターを利用した遺伝子導入法が開発されてきた。また,ウイルス性,アルコール性,代謝性の進行性肝疾患に起因する非代償性肝硬変に対して有効な治療法は肝移植しかない。一方肝細胞癌のうち多発性進行肝癌に対する治療成績は依然として満足できる物ではなく,有効な治療法の開発が必要である。我々はC型肝炎ウイルスの研究において感染性cDNAクローンから培養細胞でのウイルス培養に成功した。この技術を基本にして,組み換え型C型肝炎ウイルス粒子を作成し,肝細胞に特異的に遺伝子をデリバリーする方法の開発を試みた。 感染性非増殖性ウイルスの作成:サブジェノミックレプリコン細胞に構造領域遺伝子を導入するとウイルス粒子が培養液中に分泌されることが明らかとなった。ウイルス粒子分泌にはコアからp7までの領域が必要だが,感染性ウイルス粒子の分泌にはNS2領域の発現が必須であるった。 感染性非増殖性ウイルスの解析:作製したウイルス粒子は感染性はあるが伝搬性は無く,フォーカスアッセイによい,感染フォーカスは単一または2個の感染細胞からなっていた。また,この感染はCD81およびウイルス表面蛋白に対する抗体で抑制することができることから,HCV特異的なレセプターを介して感染していると考えられた。 レポーター遺伝子の導入:感染性非増殖性ウイルスにパッケージングされるウイルスゲノムにはネオマイシン耐性遺伝子がコードされている。このウイルス粒子を細胞に感染させた後にG418の選択培養を行うと感染細胞はネオマイシン耐性遺伝子発現により生存した。この結果は感染性非増殖性ウイルスによる遺伝子導入が可能であることを示した。
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