研究課題
特定領域研究
以前のこの研究で、独自に開発したmRNAタギング法とマイクロアレイを用い、線虫の感覚神経で発現する遺伝子の網羅的同定を行った。それにより同定された遺伝子のうちひとっに注目して機能解析を行った。この遺伝子は感覚神経に遍く発現するが、ゲノム上の位置や相補性検定からこれが以前に変異体の分離されていたdyf-11と同一であることがわかった。dyf-11は変異体が得られていたものの、原因遺伝子が同定されていなかったので、本研究でそれが同定されたことになる。DYF-11は哺乳類のシグナル伝達分子TRAF2に結合するタンパク質として同定されたTRAF2IP1/MIP-T3のホモログである。daf-11変異体では化学走性や浸透圧忌避などの行動に強い欠損が見られ、感覚神経の感覚繊毛が壊れていることがわかった。さらに、GFP::DYF-11融合タンパク質を用い、生きた線虫で観察することにより、DYF-11が繊毛内を動いていることがわかった。変異体を用いた実験から、DYF-11が鞭毛内輸送系のB粒子と共に運ばれていることが示唆された。この結果から、おそらく積荷を運ぶ機能を持っていると推定された。一方、化学走性学習の変異体を順遺伝学的手法で新たに分離した。原因遺伝子はカドヘリンスーパーファミリーのI型の膜貫通タンパク質で、アルツハイマー病原因遺伝子APPと三者複合体を作るカルシンテニン/アルカデインの線虫ホモログCASY-1であった。casy-1変異体は多種の学習に欠損を示した。機能的ドメインマッピングにより、CASY-1の細胞外ドメインが切断されて働くことが学習における機能に重要であるとわかった。
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http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/mgrl/IINO_lab/