研究課題
特定領域研究
カンジダグラブラータは、パン酵母の近縁種であるが、人体内に常在する真菌である。健常者にとっては大きな問題とはならないが、エイズや免疫抑制剤の投与によって免疫力の低下した患者に対しては重篤な日和見深在性感染症を起こすため問題となっている。我々は、カンジダの病原性解明と優れた抗真菌薬の開発を目指し、ゲノム機能解析を進めている。まず、真菌類およびヒトゲノムのデータベースを用いて、真菌類に高く保存され,人には類似性の低い遺伝子をカンジダグラブラータのゲノムから抽出した。次にパン酵母では生育必須遺伝子が同定されており、我々は前述の遺伝子の中からパン酵母の必須遺伝子のオーソログ遺伝子を184遺伝子抽出し、このうち180遺伝子についてい誘導型プロモーターを導入した株(Tet株)を体系的に構築した。これらの株を用いてin vitroでの生育実験を行い、各遺伝子のカンジダの生育に対する影響を、定量的に測定した。今後、in vitroでの生育実験を行い、これらの結果を基に抗真菌薬の標的として適性度の順位を決めていく。カンジダグラブラータではパン酵母と比較して相同組み換え効率の低いことが問題であり、遺伝子組換え操作をより効率的に進めるために新しい組換え実験系を構築する必要があった。そこで、我々はKU80のノックダウンシステムを構築し、このシステムにおいて菌株のゲノムや生育の安定性について詳細に検証を行い、生育速度、突然変異率などに影響が無い事を確認した。平成19年度はKU80ノックダウンシステムを用いて、約600のTet株を構築した。
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Genome Biology (online)
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