研究概要 |
本研究では、永年のヒトゲノム解読から研究代表者らが発見した約300個の新規遺伝子の中から、特に興味深い疾患原因および疾患関連遺伝子8個(DGCR8、SGSM1、ZNF295、CSMD3、FFER1L6、PKHDIL1、DSCR4、VPS13B)を選抜し、比較ゲノム解析/トランスクリプトーム解析/プロテオーム解析/フェノーム解析に渡る総合的なアプローチを駆使して解析を行った。 DiGeorge症候群の原因遺伝子の一つとして我々が提唱してきたDGCR8に関しては。タンパクの強制発現と免疫染色の結果から、DGCR8がRNA干渉においてmiRNA形成過程で重要な役割を果たすというモデルを提唱した(Shiohama, A., et. al. Exp Cell Res.(2007))。 脳で強い発現を示すSGSMlについては、SGSMファミリーがいずれも脳で強い発現を示すこと、免疫沈降法の結果からRAPサブファミリーの全てとRAPIDモチーフを介して、RABサブファミリーの幾つかとTBCモチーフを介して結合することを明らかにした(Yang, H., et. al. Genomics.(2007))。 ZNF295は転写抑制因子であるが、ドーパミントランスポーター遺伝子の転写活性因子ZFP161と結合してその転写を抑制することを見出した。さらに、メダカのオルソログのノックダウン解析を行なったところ、脳全体の縮小と脳室の拡大が観察された。 ヒト胎盤にのみ検出されるDSCR4については、欠失変異体を用いたプロモーター活性を測定し、nt-800付近で著しい活性の上昇と抑制を示す塩基配列を見出した(Asai, S., et. al. Biochim Biophys Acta.(2008))。 その他3つの遺伝子に関しても進化上重要となる数種のゲノムを用いた比較ゲノム解析、ヒト・メダカを用いた発現解析、ノックダウン解析を行った。
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