研究課題/領域番号 |
18019012
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
立花 政夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60132734)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
2007年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
2006年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | 神経科学 / 脳・神経 / 網膜 / 周期的発火 / シナプス伝達 / 電気シナプス / 周期的スパイク発火 / 逃避行動 |
研究概要 |
捕食動物の接近を模した拡大する黒スポット光は、カエル網膜のオフ持続型神経節細胞群に同期した周期的スパイクを発生させ、逃避行動を引き起こす。本研究は、同期した周期的スパイクが網膜で生成される神経機構と視覚中枢でデコードされる神経機構を検討した。カエルおよびキンギョの網膜スライス標本を用い、神経節細胞を膜電位固定し、内網状層を局所的に細胞外刺激した。1発の電気パルスで刺激したにもかかわらず、神経節細胞からは多峰性のシナプス後電位が記録された。キンギョ網膜スライス標本を用いて隣接するMb1型双極細胞からの同時記録をおこなった結果、樹状突起間にギャップ結合が存在すること、このギャップ結合を薬理学的に阻害するとシナプス後電位が短縮することを見出した。また、単離したMb1型双極細胞の軸索終末部に全反射蛍光顕微鏡を適用し、Caイオンの流入部位・リボンの位置・シナプス小胞の形質膜への融合イベントの時空間分布を検討した結果、Caチャネルはリボン近傍に密集していること、シナプス小胞の融合イベントはリボン近傍で一過性に生じるのみならず、リボンから離れたアクティブゾーンで持続性に生じることが明らかとなった。軸索終末部を電子顕微鏡で観察した結果、リボンシナプスとリボン無しシナプスはほぼ同数存在することがわかった。以上の結果から」キンギョ網膜のMb1型双極細胞は、軸索終末部内に存在するリボンシナプスを介して同期した一過性の情報を中枢に送り、一方、リボン無しシナプスを介して持続性の情報を中枢に送ることが示唆された。同期した周期的スパイクのデコーディング機構に関して、麻酔したカエルに拡大する黒スポット光刺激等を提示し、視蓋から細胞外記録をおこなった結果、網膜神経節細胞の応答とは受容野の性質が異なる応答を記録することができたが、細胞の同定に関しては引き続き検討中である。
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