研究課題
特定領域研究
ダイナミン(Dynamin)スーパーファミリーはDynamin1、2、3(DNM1、DNM2、DNM3)、およびANM1L伊伝氏をClassicalなタイプとする、遺伝子ファミリーである。その機能は小胞や膜の切断や融合に関与するタンパクである。我々は、第12染色体短腕の発症感受性遺伝子の探索にて、DNM1L遺伝子にリスク効果を検出した。DNM1L遺伝子はミトコンドリア膜に局在するタンパクで、膜融合や切断に関与する。一方、DNM1遺伝子とアルツハイマー病との関係はこれまでにも生化学的に指摘されており、βアミロイドの局在および産生と関係する。そこで、高齢者発症型アルツハイマー病患者および非認知症健常対照を対象として、ケースコントロール研究を行なった。患者群および対照群は各々年齢および性をマッチした約430例とした。DNA多型はSNPを使用し、定量PCRによるゲノタイピングをおこなった。その結果、DNM2遺伝子およびDNM1遺伝子に発症リスク効果が検出され、そのオッズ比は約2倍であった。一方、DNM3遺伝子では欧米人に弱い発症リスク効果が検出された。アルツハイマー脳での発現レベルを調べると、DNM2mRNA量が減少しており、DNM2の発現低下がアルツハイマー病でみられることが確認された。一方、DNM2遺伝子発現ベクター、およびsilencingRNAによる細胞発現実験では、βアミロイド産生との関係がみられたが、その効果は弱いものであった。さらに、軽度認知機能障害の患者を対象として、DNM2遺伝子アレルとの関係を検討したが、日常生活動作あるいは認知機能と発症年齢などとの有意な相関はみられなかった。Charcot-Marie-Tooth病とDNM2遺伝子欠損との関係が報告されているが、アルツハイマー病におけるDNM2遺伝子機能低下との関係はシナプス機能保持と関係すると思われる。
すべて 2007 2006
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