研究概要 |
本研究は,見え方に依存しない,すなわち,view-independentな「顔」のアイデンティティの記憶をサル前部下側頭皮質「顔」応答ニューロンがどのように表現するのか,また,view-independentな「顔」のアイデンティティの記憶は,「顔」応答ニューロンによりどのように検索されるのかを明らかにすることを目的とする.本年度は,昨年度に引き続き,「顔」のアイデンティティに基つぐ非対称的対連合課題(I-APA課題)を複数のサルに訓練し,学習成立後,同課題遂行中,前部下側頭皮質TEav野のニューロン活動の記録・解析を行った. 実験の結果,TEav野から268個の「顔」に応答性を有するニューロンを記録し,58個が,特定の「図形」と「顔」のアイデンティティの連合対に対して選択的な応答を示した(連合対選択的ニューロン).これらの連合対選択的ニューロンの特定の「顔」のアイデンティティに対する応答は,「顔」の向きに対する選択性を有していた.すなわち,TEav野においてview-dependentな「顔」の表現がなされていることが示唆された.また,「図形」→「顔」試行において,「顔」のアイデンティティに選択的な予測的遅延活動を有するものが少数存在した(20個).したがって,「顔」の記憶の検索においてはview-independentな情報が使用されていることが示唆された.
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