研究課題/領域番号 |
18020031
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
川口 泰雄 生理学研究所, 大脳皮質機能研究所, 教授 (40169694)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
2007年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2006年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 大脳皮質 / 錐体細胞 / GABA / アセチルコリン / ムスカリン / ニコチン / ソマトスタチン / コレシストキニン / 線条体 / 橋核 / 局所回路 / シナプス結合 / 逆行性標識 / 樹状突起 |
研究概要 |
大脳皮質の重要なモデュレーターであるアセチルコリンは覚醒・認知機能に深く関与する重要な伝達物質である。アセチルコリンを持続的に投与する実験から、皮質投射ニューロンである錐体細胞に対する主たる作用は興奮性だと考えられ、投与初期に一過性に現れる過分極はGABA細胞、特に、その主なサブタイプであるFS細胞の一過性興奮による抑制性シナプス電位だと思われてきた。しかし、可視化した細胞にアセチルコリンを短時間与えると5層錐体細胞には、抑制性シナプス電流でなく、ムスカリン受容体の活性化・Ca濃度上昇によるKチャネルが開くことで過分極が起きることがわかってきた。アセチルコリンの短時間作用については、錐体細胞の場合と同じく、GABA細胞についても研究グループ間によって異なる考え方が出されている。今回、皮質ニューロンタイプへのアセチルコリンの一過性応答を再検討した。どの皮質領域にいても、ムスカリン性過分極は錐体細胞では5層のものに限られ2・3層では見られず、GABA細胞ではCCK陽性の大型バスケット細胞でみられた。しかし、過分極に関わる受容体は5層錐体細胞ではm1であったのに対して、CCKバスケット細胞ではm2であり、その誘発機構は異なると考えられた。ニコチン性脱分極は、VIP細胞やニューログリア様細胞で起こすことができた。FS細胞、ソマトスタチン細胞では、他のグループによる報告とは異なり、一過性応答は殆ど観察できなかった。これらと私たちの以前の持続的投与結果と合わせると、アセチルコリンは皮質下構造に投射する5層錐体細胞を一過性に直接抑制する一方、抑制性ニューロンではニコチン受容体による脱分極・ムスカリン受容体による過分極・ムスカリン受容体による緩徐な持続的脱分極がサブタイプごとに異なる組み合わせで発現し、これらを介して抑制性回路活動を調節していることが明らかになった。
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