研究課題/領域番号 |
18021005
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
齋藤 康彦 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70290913)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
2007年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2006年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
|
キーワード | 舌下神経前位核 / 神経積分器 / 膜特性 / 眼球運動 / 遺伝子改変ラット / GABA / 電気生理学 / パッチクランプ / 神経回路 / RT-PCR / スライス |
研究概要 |
脳幹の舌下神経前位核(prepositus hypoglossi nucleus, PHN)を中心とする神経回路は、水平性眼球運動における速度信号から位置信号へ変換する機構(神経積分器)の役割を担っていることが示唆されている。本研究は、どのような電気生理学的特性をもつPHNニューロン、さらにはそれらのニューロンによって構成される神経回路機構が速度-位置変換過程に関与しているのかを調べることにより、神経積分器の実体を明らかにすることが目的である。本年度は、遺伝子組み換えによって抑制性ニューロンが蛍光標識されたトランスジェニックラット(VGAT-Venusラット)を用いて、PHN内の抑制性ニューロンの電気生理学的膜特性を明らかにすることを目指した。生後約3週齢のVGAT-Venusラットから脳幹スライス標本を作製し、蛍光標識されたニューロン(Venus陽性ニューロン)からホールセル記録を行い、スパイク後過分極、脱分極性通電によって生じる発火パターン、過分極性通電に対する応答特性を解析した。トータル144個のVenus陽性ニューロンからホールセル記録を行い、そのニューロンの膜特性を調べたところ、一相性のスパイク後過分極[AHP(s-)]、スパイクの発生が遅れるタイプの発火パターン(Late)、さらには初めのスパイク間隔が次のスパイク間隔より広い発火パターン(FIL)を示すニューロンが多く観察された。Venus陽性ニューロンの膜特性の分布は、これまでにwildラットにおいて得られたGABA作動性ニューロン(43個)の膜特性の分布とほぼ一致していた。さらに、Venus陰性ニューロンからもホールセル記録を行い、膜特性を調べたところ、AHP(s-)、Late、FILの膜特性が見られたVenus陰性ニューロンはわずかであった。以上の結果から、PHNにおいてGABA作動性ニューロンは多様な膜特性を示すニューロン群により構成されており、その中でも、AHP(s-)、Late、FILの膜特性はGABA作動性ニューロンに特有なものであることが示された。
|