研究概要 |
上丘は第1〜3層からなる浅層と第4〜7層からなる深層に区分される。これまでリーラーマウス上丘の組織構築異常を解析した研究があるが(Baba, et. Al., Brain Res. 1140: 205-215,2006)、リーリンの下流遺伝子であるdisabled-1ミュータントであるヨタリマウスの上丘の細胞構築に関する研究はない。そこで,今回、リーラーおよびヨタリマウスを用いてNissl染色,MBP抗体を用いた髄鞘染色,NADPH-d組織化学およびParvalbumin、Calbindin、Calretinin、nNOS、GAD67に対する抗体を用いた免疫組織化学,HRP標識法等を用いてリーラーおよびヨタリ上丘の細胞構築を検討した。Nissl染色により,リーラー,ヨタリともに上丘表層の層構築が乱れ,また髄鞘染色によりこれらのミュータントマウスで髄鞘構築異常が明らかとなった。さらに正常マウスではNADPH-d陽性細胞は上丘の第1層と第2層に層状に分布するが,リーラーでは最表層に,ヨタリでは表層に広く分布していた。抗カルビンディン免疫陽性細胞は,正常マウスでは全層に広く分布したが,特に第1層と第2層に多くの免疫陽性ニューロンが存在した。一方,リーラーでは正常マウスとほぼ同様の陽性像が得られたが,ヨタリでは中間層(4,5層)には陽性ニューロンは存在しなかった。
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