研究課題/領域番号 |
18022016
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
少作 隆子 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60179025)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
2007年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | 同期性検出器 / NMDA型グルタミン酸受容体 / ホスホリパーゼC / カルシウムイオン / 内因性カンナビノイド / 海馬ニューロン / シナプス可塑性 / 神経生理学 |
研究概要 |
1.2つのシグナルの同期を検出する「同期性検出器」は、シナプス可塑性の誘導を含めさまざまな脳機能において重要な役割を担っている。本研究では、PLCbetaとNMDA受容体という二つの同期性検出分子に注目し、その生理的役割を明らかにすることを試みた。前半では内因性カンナビノイド放出におけるNMDA受容体の役割、後半ではムスカリン性アセチルコリン受容体を介するニューロンの興奮性調節におけるPLCbetaの役割、について検討した。 2.実験には培養海馬ニューロンを用い、double whole-cell記録により抑制性シナプス後電流を測定した。高濃度のNMDAを投与するとシナプス伝達は抑制され、その効果はカンナビノイド受容体阻害剤で消失した。また、低濃度のNMDAを投与すると、単独では効果は見られないが、group I mGluRやM1/M3ムスカリン受容体などのGq/11共役型受容体の活性化と組み合わせると、シナプス伝達は抑制され、その効果もまたカンナビノイド受容体阻害剤で消失した。以上より、NMDA受容体は、強く活性化されると単独で、弱く活性化される場合はGq/11共役型受容体と同期することにより、内因性カンナビノイド放出を引き起こすことが明らかとなった。 3.次に、ムスカリン性受容体を介する興奮性調節におけるPLCbetaの役割について調べた。培養海馬ニューロンにムスカリン性受容体アゴニスト(oxo-M)を投与すると、多くのニューロンで脱分極がみられ、この効果はPLC阻害剤により消失した。また、oxo-Mによる脱分極の大きさおよび静止膜電位は細胞内Ca2+濃度の影響を受け、Ca^<2+>濃度が高い方がより発火し易い傾向を示した。 4.以上より、同期性検出器として働きうるPLCbetaとNMDA受容体は、細胞の興奮性やシナプス伝達の調節に重要な役割を担っていることが判明した。
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