研究課題
特定領域研究
プロスタノイドは、プロスタグランジン(PG)とトロンボキサンの総称であり、中枢では発熱の他、病的睡眠やACTH分泌の促進を引き起こす。また視索前野ではPGE2がAMPA-kainate依存性にスパイン形成を増強し、これがオス性行動を規定することが示された。しかしこれら神経作用の中で、その分子機構が解明された例はほとんどない。本研究の目的は、プロスタノイドによる神経作用の分子機構を明らかにすることである。(1)EP3による発熱の分子機構我々は、PGE2による発熱の分子機構を明らかにするため、視索前野のEP3受容体発現ニューロンを単離し、その遺伝子発現プロファイルがPGE2投与でどう変化するか調べた。その結果、GABA-A受容体の発現レベルがPGE2処理で低下した。視索前野におけるEP3受容体とGABAAの共存を解析したところ、EP3発現細胞の大半がGABA-Aを共発現していた。野生型ではPGE2投与で視索前野のGABA-A遺伝子発現が減少したが、EP3欠損マウスでは見られなかった。さらに野生型ではPGE2投与によりGABAAα2タンパク質発現量が低下した。またPGE2によるGABAA発現低下は、百日咳毒素処理により抑制された。以上より、PGE2が視索前野ニューロンのEP3受容体に作用すると、Gi/oを介してGABAAのタンパク質レベルを低下させ、本ニューロンのGABA抑制支配を解除することが発熱に繋がるものと考えられた。(2)性行動を規定するPGE受容体4種類のPGE受容体欠損マウス個体において、オス性行動の解析を行い、ある種のEP欠損マウスはオス性行動をほとんど示さないことを見出した。また本欠損マウスの視索前野初代培養ニューロンでは、PGE2のスパイン形成亢進作用が消失していた。現在その分子機構を解析中である。
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