研究課題/領域番号 |
18022041
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
椎名 伸之 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助教 (30332175)
|
研究分担者 |
徳永 万喜洋 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 教授 (00192659)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
2007年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
|
キーワード | 局所的翻訳 / シナプス / RNA granule / RNG105 / Na^+ / K^+ATPase / FXYD / 神経ネットワーク / mRNA輸送 / 興奮性 / 抑制性 / AMPA / GABA |
研究概要 |
神経樹状突起後シナプスへのmRNAの輸送と局所的翻訳は、シナプス形成・可塑性の重要な基盤となっている。我々は、その局所的翻訳制御に中心的な役割を果たしているRNA granuleの構成要素として、新規RNA結合タンパク質RNG105を同定・解析してきた。 本年度は、RNG105に結合するmRNAの網羅的スクリーニングをおこない、その結果、Na^+/K^+ATPaseサブユニットのうち4個ものアイソフォーム(alpha3, FXYD1, FXYD6, FXYD7)のmRNAがRNG105に結合することを見出した。RNG105ノックアウトマウスでは、これらmRNAの樹状突起への輸送が低下し、それらの翻訳産物の樹状突起局在も低下していることがわかった。Na^+/K^+ATPaseの阻害剤ウアバインは、培養神経のネットワーク形成を低下させ、さらに興奮性/抑制性シナプス形成の割合を低下させることを明らかにした。これらの効果は、RNG105ノックアウト神経の表現型に非常に良く似ていた。また、siRNAを用いた実験により、Na^+/K^+ATPaseのそれぞれのサブユニットアイソフォームをノックダウンすることによっても、同様の結果を得た。 本研究では、Na^+/K^+ATPaseが樹状突起における局所的翻訳制御を受け、神経ネットワークの形成や興奮性/抑制性シナプスの形成とバランスに関与することを初めて見出した。興奮性/抑制性のバランスは正常な脳の構築と機能に重要であり、そのアンバランスは自閉症や統合失調症など多くの精神・神経疾患と深い関連があることが示されている。本研究は、シナプスの形成とバランシングについて、新しいメカニズムを提示し得ると考える。
|