研究課題
特定領域研究
統合失調症の発症には遺伝的な影響を強く受けるがエピジェネティクな要因も重要な役割を果たしていると推測されている。統合失調症の分子病態を把握するためにはジェネティーク、エピジェネティクの両者をともに解析する必要がある。すでに進行しつつあるジェネティクなデータに加えて、エピジェネティクな遺伝子変化を来す遺伝子を網羅的に解析して、統合失調症の疾患パスウエイを解明することを目的とした。遺伝子解析は症例・対照各々2,087人・2,096人、死後脳は統合失調症81、コントロール21(Brodmannarea 9)を対象とした。ゲノムワイド関連解析はSentrix^[○!R] Human-1 Genptyping BeadChip (Illumina)、TaqMan法、遺伝子発現はIllumina Sentri^[○!R] Human-6 Expression BeadChip、TaqMan reatime PCR法を使った。またThe Stanley Medical Research Institute Online Genomics Databaseも参考にした。マウスは7週齢雄を用いた。解析ソフトウエアはGeneSpring, Ingenuity Pathways Analysisを使用した。研究は筑波大学および共同研究機関のヒトゲノム・遺伝子解析研究のための倫理委員会および筑波大学動物実験委員会の承認を受けて行われた。全ゲノム関連解析の結果、エピジェネティックな機序に関わる遺伝子を同定した。コードしているタンパク質は核に移行して機能するが、細胞実験により変異型の核への移行に障害が起こっていると推測された。RNAi導入細胞、野生型及び変異型の過剰発現細胞の発現プロファイルを比較した結果、統合失調症で発現変化が報告されている遺伝子およびStanleyのデータベースで統合失調症において有意に発現変化している遺伝子はRNAiで変化する遺伝子の方向性が有意に一致しでいた。発現変化の方向から変異型は機能減弱型と推測された。マウスのメタンフェタミン、MK-801投与によりこの遺伝子の発現は低下し、抗精神病薬により発現が上昇した。この遺伝子がコードしているタンパク質は統合失調症のエピジェネティックな機序に関わる鍵分子の候補の1つと考えら、この分子を介したパスウエイが統合失調症の分子病態に関わっていると推測された。
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