研究概要 |
4.2Kマイクロアレーを用いた統合失調症59例の解析:統合失調症59例の株化リンパ芽球を国立精神神経センター神経研究所疾病研究第三部の功刀浩部長・橋本亮太前室長(現大阪大学医学系研究科精神医学)並びに東京都精神医学総合研究所統合失調症プロジェクトの糸川昌成プロジェクトリーダーの協力のもと集積した。全症例をFISH検証済みBAC4219個を搭載した4.2Kアレーを用いて解析した。個々の症例において少なくとも4〜12箇所程度のコピー数異常を疑う領域を検出した。これら異常の疑われる部位のうち正常ゲノム多型と考えられるCopy Number Variation Database に登録されていない領域に焦点を絞りFISH・定量PCRで検証しコピー数異常の確定を行った。 同定された染色体微細構造異常:6症例(10%)のリンパ芽球において以下の染色体異常を同定した。(1)46,XY.ish del(17)(p12p12),(2)46,XY,der(13)t(12;13)(p12.1;Pp11).ish del(5)(p11p12),(3)46,XX.ish dup(11)(p13p13),(4)mos45,X[41]/46XX[59],(5)mos45,X[84]/46XX[16],(6)46,X,idic(Yp)(仮)である。この内,2例で認められたmos45,X/46XXを症例から得られた末梢血リンパ球からの染色体標本で追試したが,それぞれmos45,X[7]/46,XX[98]及び45,X[4]/46,XX[96]で,低頻度モザイクを認めた。 精神遅滞症候群における責任遺伝子単離:小児期に重度の精神遅滞を合併する1症候群において4.2Kアレーを用いてde novo微細欠失を同定した。この欠失内の候補遺伝子Aを同疾患症例でスクリーニングし複数の遺伝子変異を同定し,遺伝子Aを本症候群の責任遺伝子であると結論した。
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