研究分担者 |
城谷 一民 室蘭工業大学, 工学部, 特任教授 (90110692)
武田 圭生 室蘭工業大学, 工学部, 助教 (70352060)
分島 亮 北海道大学, 大学院・理学研究院, 講師 (10292046)
松平 和之 九州工業大学, 工学部, 助教 (40312342)
李 哲虎 産業技術総合研究所, 主任研究員 (80358358)
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研究概要 |
充填スクッテルダイト化合物RT_4X_12(R=希土類元素,T=遷移金属元素,X=リン,ヒ素,アンチモン)は組成により異方的超伝導,重い電子系的振舞,金属一絶縁体転移,多極子転移など様々な異常物性を示すことが知られている。この変化に富んだ物性はこの系の結晶構造の特異性,電子構造の特異性及び希土類4f電子の不安定性に起因していると考えられている。本研究では新充填スクッテルダイト化合物を高圧合成法により作成し,その基礎物性を評価することにより,この系に特有な異常物性を浮き彫りにさせ,新物質開発を通して物性物理学の新分野を開拓することを目的とした。充填スクッテルダイト化合物は希土類元素のイオン半径がランタノイド収縮により小さくなるにつれ,合成しにくくなる傾向にあり,重希土類元素を含む化合物は高圧力下でのみ合成が可能である。本特定領域研究で購入した超高圧発生装置(UHP-1500)を用いることで8万気圧までの超高圧力下での合成が可能となった。本装置を使用し,重希土類元素を含む新充填スクッテルダイト化合物DyRu_4P_12の合成に成功した。DyRu_4P_l2は金属的な電気伝導性を有し,15Kで電気抵抗の急激な上昇を伴う反強磁性転移を示すことを発見した。これは,GdRu_4P_12, TbRu_4P_12と類似の振る舞いであり,フェルミ面のネスティング効果が関与しているものと考えられ。これまで,PrやSmを含む充填スクッテルダイト化合物において,多極子モーメントが関与する転移が見出されており,Dyなどの重希土類元素を含む化合物の転移においても多極子モーメントの関与の有無に興味が持たれる。
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