研究課題/領域番号 |
18030003
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐々木 正洋 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (80282333)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2007年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2006年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 走査トンネル顕微鏡 / 局所トンネル障壁高さ / 電界電子放出 / 炭素薄膜 / 仕事関数 / マイクロプラズマ / 電極 |
研究概要 |
プラズマ領域の微細化に伴い宇宙線励起等による電子放出の確率が減少し、自発的なプラズマ点火が起こらなくなることが知られている。マイクロプラズマを自在に制御するために、能動的電界電子放出がおこる電極材料が求められている。本研究では、走査トンネル顕微鏡(STM)を応用した、原子スケールでの構造計測、局所仕事関数計測、電子放出分布計測に基づく検討から、プラスマ生成条件で大電流電子電界放出を実現する電極材料を提案することを目的とする。 昨年度は、ナノ微細構造を持たない炭素薄膜でも極めて優れた電子放出特性を示すこと、その機構は従来の古典的な電界電子放出の枠内では理解できないことを明らかにした。本年度は、その炭素薄膜表面において、超高真空を維持したままでSTM応用局所物性計測を行うことにより、炭素薄膜の優れた電子放出特性出現の機構を明らかにし、究極の電子放出特性を有する電極材料を提案することを目指した。 得られた形状像から、この材料は様々な方位の微細なグラファイトのグレインで構成されていた。また、局所トンネル障壁高さ計測から、この表面は局所仕事関数には大きな分布が無いものの、グラファイトの方位に対応して電子状態は極めて不均一であった。ここで現象を単純化するために、グラフェンシートが表面平行に配置したグラファイト結晶(HOPG)や単原子層グラファイトで局所的な電子放出分布を計測したが、優れた電子放出特性は観測されなかった。得られた結果を総合すると、グラファイト結晶の方位が重要であることを示唆している。実際、対応する原子配置を明確に示すには至らなかったものの、炭素薄膜上に極めて低い閾電界で高い放出電流が現れるグレインが存在することが観測された。これにより、グラファイト結晶の方向制御により究極の電子放出特性が実現しうることが明確になった。
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