研究概要 |
マイクロプラズマ源とマイクロノズルから成るマイクロ波励起の電熱加速型マイクロプラズマスラスタの具現化・実用化と,マイクロプラズマに特徴的な反応場と流れ場の競合現象の解明とその制御方法の創出をめざし,[1]これまでの数値解析モデル(マイクロ波電磁界,マイクロプラズマ生成・維持,マイクロノズル流れ,スラスタ推進性能)の高度化を推進し,マイクロプラズマ源からノズルに至る全領域に2温度流体モデルを適用して,マイクロプラズマ生成・維持とマイクロノズル流れの自己無撞着な数値解析モデル(統一シミュレーションモデル)を完成した.その結果,プラズマパラメータの空間分布がマイクロプラズマ源内でのマイクロ波電磁界の微細構造,ひいてはマイクロ波エネルギーのプラズマでの吸収効率に影響を及ぼし,プラズマ生成ひいては推力に大きな影響を及ぼすことがわかった.[2]さらに,これまで,数値解析および実験において推進剤として用いてきたArガスにかえて軽い分子性ガスH_2を用い,マイクロプラズマ生成を実証し,マイクロプラズマスラスタとしての推進性能を測定した.H_2を推進剤とした場合,その優れた熱伝導性のため,微小空間の壁でのプラズマ損失が顕著になるマイクロプラズマスラスタにおいては,大型のスラスタほど特徴が出ないことが危惧されたが,Arと比較して推力は約0.1mNと1桁程度低いが,比推力は約500sと1桁程度高く,H_2の高い熱伝導性による壁へのエネルギー損失は大きな問題にならず,電熱加速型マイクロプラズマスラスタの推進剤として使用できることを明らかにした.
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