研究概要 |
本研究の目的は,パルスレーザー光により透明固体媒質内,あるいは固体-固体の界面に生成されるマイクロプラズマのダイナミックスの解明である.そのようなマイクロプラズマは,高温・高圧を容易に生成できるので,新しい材料創製や加工の場として観点から研究を実施した.その結果,次のような成果が得られた. 1)昨年度に引きつつき,炭素とガラス,Geとガラス界面に発生したマイクロプラズマの時間積分スペクトルを測定した.その結果,大気中でカーボンやGeのマイクロプラズマを発生した場合,材料固有のスペクトルが観測されるのに対して,ガラス-固体界面に生成したプラズマでは,材料によらないブロードなスペクトルとガラスが気化したと思われるシリコンの発光線が得られることを明らかにした.シリコンの発光線は,プラズマ生成後100 ns 以降で観測されることから,高温プラズマの冷却による再結合で生成されていると推定される. 2)石英ガラス等の透明材料の微細加工に界面プラズマを利用する可能性について検討した.吸収体の同一箇所にレーザー照射すると,照射回数とともにプラズマ強度が急速に弱くなる現象が見られた.そこで,吸収体と透明材料をほぼ接触したままで,吸収体を連続的に移動して安定なプラズマを長時間生成できる装置を試作した. 4)試作した装置を用いて,石英ガラスおよびサファイア基板表面に,TEM用グリッドをマスクパターンに用いてそのパターンを転写することに成功した.レーザー生成界面プラズマが透明材料ののマイクロ加工に有用であることを示した.
|