研究概要 |
大気圧下での微小空間で発生させるマイクロブラズマ空間を位置選択的なマイクロプラズマ重合反応での化学反応場に利用し,ドライプロセスでの高分子合成への適用可能なプロセスの作成及びマイクロプラズマ重合反応と重合薄膜のキャラクタリゼーション法について検討した。本年度は,(1)トーチ内部での重合膜付着を低減し,装置のメインテナンスを容易にするために低周波電源ど内部に電極を持たない形状のプラズマトーチの組み合わせたマイクロプラズマ反応装置により,スチレンモノマーを原料としたマイクロプラズマ重合(MPP)膜の合成及び薄膜のキャラクタリゼーションを行った。MPPスチレン膜は重合条件によっては架橋性が低く溶媒に溶解性を示すが,真空アニール処理により重合膜が溶解性をほとんど示さず,免疫センサの抗体物理吸着の基材に使えることが明らかとなった。(2)発光分光分析によるマイクロプラズマ評価を検討し,電子温度については励起温度からの推定と衝突-輻射モデル(CRモデル)を基本としたプラズマモデルから,観測スペクトルを再現できる電子温度と電子密度の同定を併用し,さらに分光結果から観測されだOHラジカルの回転スペクトルによるガス温度の同定を行った。これらの理論を高周波出力とプラズマの体積に直接影響すると考えられるコイル条件と関連させた検討を行い,どちらも同程度の値を得た。これらの手法が,マイクロプラズマを診断する指標としての有効であることが示唆された。(3)センサ素子の情報変換部位として温度特性が良好で高周波化が可能な水晶基板上を伝搬する横波型弾性表面波(STW)センサ素子上にMPP重合膜合成の最適条件を見出し,MPPアリルアミン膜を用いた高耐久性を示す高感度ガスセンサ膜の合成条件を明らかにした。
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