研究課題
特定領域研究
プリオンとは蛋白質性の感染因子である。プリオンでは、異常型蛋白質(プリオン)はアミロイド線維様の凝集状態であり、そのアミロイド凝集体は自己触媒的に正常型(モノマー)をアミロイド様の凝集状態に構造転換さる。そのアミロイド様の凝集構造がどのように形成されるのか、またプリオンが細胞内でどのように伝播していくのか、に関して詳細はいまだ不明である。その一つの理由としては、従来の生化学・細胞生物学的な手法では多くの線維や細胞の平均を見るだけなので個別の情報が得られず、詳細を知るには限界がある点が挙げられる。そのような状況において、我々は安全な出芽酵母のプリオン現象をモデルにしてプリオン線維の成長を一本一本観察する実験系の確立、X線線維回折実験による線維構造のβヘリックスモデルの提案などを行ってきた。特に最近では、in vitro、in vivo両面において、一個一個の正常型蛋白質が線維に取り込まれるようすやプリオンが細胞内で伝搬していくようすを「生きたまま」個別に観察してプリオン現象を分子レベルで理解することを目的としている。本特定領域による19年度の成果としては、(in vitro)線維末端に1分子1分子の酵母プリオン蛋白質Sup35が付加していくようすを実時間で観察することに成功し、その結果を速度論的に解析した。これにより、線維末端での構造変換にかかる時間が推定できた。(in vivo)細胞内でのプリオン蛋白質によるアミロイドを単離精製する条件を探索した。プリオンのオリゴマーがどのようなメカニズムで娘細胞に伝播するのかについて調べる実験系を構築した。
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Int. J. Biol. Macromol. (印刷中)(掲載確定)
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