研究課題/領域番号 |
18031012
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
櫻井 実 東京工業大学, バイオ研究基盤支援総合センター, 教授 (50162342)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2007年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2006年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | トレハロース / 水 / 自由エネルギー / LEA蛋白質 / ネムリユスリカ / 疎水性相互作用 / 乾燥耐性 / レプリカ交換MD / 適合溶質 / DNA / FTIR / 分子動力学シミュレーション / ガラス状態 / DSC |
研究概要 |
1.水中におけるトレハロースとベンゼンの相互作用を分子動力学シミュレーション(MD)により、調べた。具体的には、トレハロースとベンゼンの質量中心間距離を反応座標にとり自由エネルギー変化を算出した。その結果、質量中心間距離R=5.2Å付近に極小値が見出された。ついで、極小点におけるトレハロースに対するベンゼンの相対的配向を解析したところ、ベンゼンはトレハロースの上部(exocyclic methylene基の存在する側)と相互作用することが判明した。一方、トレハロース1分子水溶液に対するMDの解析から、トレハロースは、下部ではよく水和されているのに対し、上部では水和されにくい部分があることがわかった。このことから、ベンゼンは脱水和のペナルティを最小にする経路でトレハロースに接近し結合すると結論した。このような水和ポケットは、α,α-1,1-グリコシド結合の剛直性から生ずることから、ベンゼンとの錯体形成は他の糖では起こらないことも説明できた。 2.LEA蛋白質の構造と機能の関係を調べるため、ネムリユスリカ由来のPvLEA2とモデルペプチドを用いた実験を行った。その結果、乾燥状態ではPvLEA2はαヘリックス構造をとること、また、ナトリヴムイオンの共存はこのαヘリックスの形成を妨げないがモカルシウムイオンの場合は著しく阻害することが判明した。モデルペプチドを用いた実験では、カゼイン水溶液の乾燥→再水和過程で起こる凝集に対し、モデルペプチドの添加がどのような影響を与えるかを調べた。その結果、低濃度では凝集を促進するが、高濃度では天然のLEAと同等な抑制作用を示すことが判明した。水溶液中では無構造であるが乾燥すると構造化するという、LEA蛋白質の特異な性質を解明するため、レプリカ交換分子動力学計算を行った。その結果、LEA蛋白質の11mer繰り返しモチーフ2個から成るペプチドは、真空中(乾燥状態に相当)においてαヘリックスが最安定構造であることが確かめられた。
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