研究課題/領域番号 |
18031023
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長澤 裕 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50294161)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 水和 / 蛍光相関分光法 / 蛍光消光法 / トレハロース / 蛍光相関分光 / 水素結合 |
研究概要 |
通常、蛋白質や脂質膜等の生体物質は、液体である水が存在しないと、その高次構造を保持することができない。ところが、ある種の生物は極度の乾燥や凍結にも耐えることができ、その際、トレハロース等の糖類が水の代替物質として作用することが知られている。これらの糖類は分子レベルで生体物質の揺らぎを抑制していると考えられ、分子運動に糖が与える影響は非常に興味深い。そこで、蛍光相関分光法(FCS)や、蛍光消光法による実験を行なった。 水溶液の糖濃度を上昇させると、糖水溶液中の蛍光性分子の励起三重項(T_1)状態の寿命τ_<trp>が長くなることをFCSにより見出した。T_1状態は大気中の酸素によって消光される。よって、高濃度の糖水溶液中でT_1、状態の寿命が延びる原因としては、酸素濃度もしくは酸素分子の拡散速度の低下が考えられる。糖分子と酸素分子が何か特別な相互作用をするとは考えにくいので、その原因は溶液中の自由体積の低下といったような物理的なものが考えられる。クリプトビオシス時にその生物の生命機能は完全に停止しているので、水や酸素等の循環を遮断したほうが、生体物質の長期保存には有利なのかも知れない。 さらにリン脂質2重膜ベシクルを細胞のモデルとして、凍結に対する糖類の保護能についてもFCSと蛍光消光法で調べた。蛍光消光法はベシクル外に存在する蛍光色素を消光剤によって消光し、ベシクルに内包された色素の割合を求める実験法である。その結果、スクロースやトレハロースを凍結時に添加しておくと、ベシクルの保持効率が上昇することがわかった。特にトレハロースでは、ベシクルの内外に添加した場合の効果が大きい。さらにFCSで凍結時のベシクルの凝集についての糖類の効果も調べた。
|