研究課題
特定領域研究
除草剤として使用されているclomazoneの誘導体であるketoclomazoneが、MEP経路の初発酵素であるDXP synthase活性を阻害することを見出した。そこで、Haemophilus influenzae由来のDXP synthaseを用いて、その阻害機構を明らかにすることを試みた。その結果、得られたカイネティックデータは、発見当初から推測されていたように、DXP synthase反応がPing Pong Bi Bi機構に従うことを強く支持した。すなわち、pyruvateが第一基質(A)として酵素(E)に結合し、次いで、第二基質(B)であるD-GAPが結合する前に最初の反応産物(P)であるCO_2の放出をともなって構造変化した酵素(F)が形成される。その後、D-GAPが結合して、最終産物(Q)であるDXPが生成する。次に、ketoclomazone存在下でのカイネティックデータを収集し、Lineweaver-Burkプロットを作成した。その結果、ketoclomazone濃度を変化させD-GAP濃度を固定してDXP synthase活性を測定した場合には直線群がほぼ平行になったことから、ketoclomazoneはpyruvateに対しては、不競合阻害を示すことが判明した。一方、pyruvate濃度を固定してDXP synthase活性を測定した場合には直線群がY軸の左側で交わったことから、ketoclomazoneはD-GAPに対しては、非競合阻害を示すことが判明した。これらの結果から、阻害剤(I)であるketoclomazoneは、遊離のDXP synthase (E)とは結合できず、pyruvateが結合して構造変化した(F)に結合すること、しかも、その結合部位はD-GAPの結合部位とも異なることが示唆された。以上のように、DXP synthaseに対するketoclomazoneのユニークな阻害機構を明らかにすることができた。
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Int. Immunol. 19
ページ: 657-673
10027388917