研究概要 |
本研究では,癌細胞の増殖能を司るテロメアーゼの阻害剤として,微生物の代謝産物から単離されたtelomestatin(1)の各種誘導体ライブラリーの効率的合成法を開発し,telomestatinの分子レべルでの機能解明,およびさらに強力な阻害剤開発に必要な知見を獲得することを目的とする。1は2つのメチルオキサゾール,5つのオキサゾール,およびチアゾリンが連続的に連結し環構造を有する特異な構造を有する。(R)-telomestatinの全合成に引き続きその鏡像体の合成を行った。その間、大環状の環化においてシステイン残基がエピ化するという問題を解決し、望む全合成を達成した。両鏡像体のCDスペクトルと天然物のスペクトルとの比較により、天然物がR体であると決定した。
|