研究概要 |
昨年度,アナサンゴモドキから単離した細胞毒性物質(MCTx-1)はL1210マウス白血病細胞に対する活性強度(IC_<50>値)は79ng/mLであり、過去に報告されている海産生物由来の細胞毒性低分子化合物と比較しても遜色のない強い活性を有していた。ザリガニに対する致死毒性(腹腔内投与)のLD_<50>値は106μg/kgであった。単離したMCTx-1の部分アミノ酸配列を基にcDNAクローニングを行1い、MCTx-1をコードする全塩基配列および全演繹アミノ酸一次配列を明らかにした。相同性検索の,結果、MCTx-1はdermatopontinファミリーに属する新規タンパク質毒素であることが明らかとなった。Dermatopontinは当初哺乳類の表皮からデコリンなどと共に細胞外マトリックスとして単離されたがその機能の詳細については不明点が多い。今回、単離・構造決定されたMCTx-1は毒として機能することが示された初めてのdemmtopontinである。 また,アナサンゴモドキから刺胞を取り出す際に得られた上清に含まれるオレンジ色の色素画分はUV照射により赤色蛍光を示した。この色素をゲルろ過HPLCに供し、色素タンパク質(分子量約15kDa)を単離した。単離した色素タンパク質のN末端アミノ酸配列を解析し、得られたアミノ酸配列を基に、cDNAクローニングを行った。その結果、色素タンパク質の全塩基配列および演繹アミノ酸一次配列を決定した。その結果,本タンパク質は新規なペリディニンクロロフィルa結合タンパク質(PCP:peridinin-chlorophyll a protein)であることが明らかとなった.
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