研究概要 |
当研究所で発見されたIL-6活性阻害剤マジンドリン類は、特異な3a-ヒドロキシフロインドリン骨格にジケトシクロペンテン部分がメチレン鎖で架橋した特徴的な構造を有している.そこで今回、大量合成に適した第2世代の全合成ルートの開発を行った.すなわち、一つ目の鍵反応は、光学活性な3a-ヒドロキシフロインドリンから導いたエステル体を用い、3a-ヒドロキシフロインドリン部分と金属により、ジケトシクロペンデン環上の4級炭素を選択的に構築した。そして、二つ目の鍵反応は、アリルシランを用いた分子内アシル化反応により一挙にジケトシクロペンテン部分を構築し、これにより計9ステップ、総収率は19%と短工程かつ高立体選択的な全合成ルートを確立した。これまでにこの合成法を用いて、マジンドリンを3g合成した。次に、この合成法を応用してジケトシクロペンテン環の側鎖を変換した誘導体を合成した。その結果、天然物より約4倍活性が上昇した誘導体(炭素鎖7)を創製することが出来た。また、マジンドリンAのラベル体合成を行い、マジンドリンAがgp130に特異性に結合することを明らかにした。さらに合成したマジンドリンAが、マウスを用いた骨粗鬆症モデルで有意に骨重量の減少を抑える事が明らかになった。 一方、細胞周期阻害剤であるネオキサリンに関しては、特異な構造である5, 6, 6スピロアミナールに注目して、合成を行った。すなわち、一つ目の鍵反応は、ルイス酸を用いた5,5のフロインドリンから5,6のジアミナールへの骨格変換を行い、二つ目の鍵反応は、ニトロンを経由した酸性条件化で5, 6,6のスピロアミナール骨格を初めて構築する事が出来た。
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