研究課題
特定領域研究
配位高分子結晶の一つであるプルシアンブルー(PB)及びその誘導体(PBA)ナノ結晶に注目して研究を進めた。PBは、エレクトロクロミック素子、二次電池、酸化還元触媒、グルコースセンサなど、機能性材料としての研究が進められている。PB自体は、簡便・安価・大量合成できる一方で、溶媒に不溶であったことが、その実用化研究の大きな障害となっていた。本特定領域研究において、我々は、PBが10〜20nm程度のナノ微粒子の凝集体であることを初めて報告した。配位高分子結晶の表面には、活性な配位不飽和サイトが存在している。一つは他の配位子や金属錯体(または錯イオン)が配位(交換)可能なFe-OH^2サイト、もう一つは他遷移金属イオンが配位可能なFe-CNサイトである。ナノサイズの結晶では、その結晶表面の配位不飽和サイトの結晶全体に占める割合が極めて大きいため、その配位飽和サイト、つまり、配位高分子ナノ結晶の結晶表面に広がる配位空間を新しい反応場として利用することで、ナノ結晶の物性制御など新しい機能化が可能であると考えられる。Fe-OH^2サイトを利用しアルキルアミンで結晶表面修飾を行うと、PBのナノ微粒子個々は、その凝集状態が解かれ、トルエンなどの有機溶媒に安定に分散することが明らかになった。また、フェロシアン化イオンを修飾することで、水やアルコールに安定に分散するPBナノ微粒子を得ることに成功した。PBのみならず、NiやCoから構成されるPBAからも同様な表面修飾により、安定なナノ微粒子の有機溶媒・水分散液を作製することにも成功した。ナノ微粒子分散液の高速遠心分離により、粒子径分画が可能であることも分かった。
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