研究課題
特定領域研究
Cis,trans-[Re(dmb)(CO)_2(PR^1R^2R^3)(PR^4R^5R^6)]+([Re(PR^1R^2R^3)(PR^4R^5R^6)]+)のフェニル基数を変えた一連の錯体を台成した。dmb配位子とリン上の置換基との間に働く分子内芳香環相互作用によるレニウム(I)錯体の構造変化と光物性の相関を調べた結果、その相互作用によつてレニウム(I)錯体からデュアルエミッションが観測できることを見出した。結晶構造解析と^lH-NMRスペクトルの詳細を比較検討した結果、溶液中においてRe-P結合を軸としてリン配位子は回転しているが、リン配位子の2つの置換基がdmb配位子側を向く配座と、dmb配位子上にリン配位子の置換基が1つだけ向く配座が存在することが明らかになった。また、リン上のフェニル基数に応じて、この2種類の配座の存在比率が変化することも分かった。いずれの錯体も、アセトニトリル中で発光が観測された。[Re(PPh_3)_2]及び[Re(PR_3)_2]+(R=アルキル基)の発光減衰はいずれも1成分で解析されたが、前者の発光寿命は1長く、後者は短寿命であった。一方、PPh_2R及びPPhR_2を配位した錯体の発光減衰は、少なくとも2成分解析が必要であった。リン配位子上のフェニル基数が増加するに従い、長寿命成分の割合が増加し、短寿命成分の割合は減少した。これは、リン配位子のフェニル基とdmb配位子の間のπ-π相互作用が相対的に強く発現する構造と弱く発現する構造が溶液中に混在しているため、これら異なる2種の配座異性体からデュアルエミッションが観測されたと考えられる。
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Inorg. Chem. 46
ページ: 3531-3540
ページ: 9051-9053
Inorganic Chemistry (in press)