研究概要 |
室温で結晶に光照射するとμ-O_2SSO_2からμ-OSOS0_2へ異性化するロジウム二核錯体の結晶相光誘起異性化反応について,[(Cp^*Rh)_2(μ_CH2)_2(μ-0_2SS0_2)](Cp^*=C_5Me_5)(1)と同形の結晶構造を持つ[(Cp^<Et>Rh)_2(μ-CH_2)_2(μ-0_2SSO_2)](Cp^<Et>=C_5Me_4Et)(2)について,光照射後に生成する構造異性体の比率が光照射の強度や波長を変化させた時,どのように時間変化するかを単結晶X線解析法により解析した。この結果,主として生成する構造異性体が(1)と(2)では-SO_2部位の回転方向が異なること,(2)は光照射に伴って結晶が劣化しやすく,室温では逆反応がほとんど起こらないことが分かった。また,(2)についてバンドパスフィルターを通したキセノンランプ光を結晶に照射したところ,吸収帯の波長の光を照射した場合には結晶表面のみが劣化して,結晶構造解析では異性化が観測できなかったが,吸収帯の裾野の波長の光を照射したときには異性体の生成が確認された。さらに,(2)については結晶相光異性化の初期段階で光誘起相転移現象が確認された。(2)では再結晶により単位格子の体積が(1)の2倍のものが得られることがあり。この結晶の光異性化反応の過程で単位格子の体積が半分になり(1)と同形になることが分かった。結晶を80℃まで昇温しても変化がないことから,光誘起相転移であると考えられる。構造解析からCP^Et環の配向にdisorder→orderの変化が見られた。Spring-8におけるX線マイクロビームを用いた極微小単結晶構造解析の立ち上げにおいて,ミクロンサイズの構造未知の金属酸化物や有機化合物の構造解析に成功した。今後のサブナノサイズの単結晶構造解析による新たな研究領域の開拓が期待される。
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