研究概要 |
損夫アルファ粒子計測器は,シンチレータの発光位置を計測することで,磁力線に対するピッチ角とエネルギーを同時に得ることが可能である.シンチレータの発光像をリレーレンズとファイバー束を介してCCDカメラにより計測する. H18年度は損失アルファ粒子計測器の各種シンチレータの評価を行った.その結果をもとに最も適している多結晶Ce:YAGセラミックシンチレータに関してH19年度は更に詳細な調査を行った. 1.原子炉JRR-3を用いた中性子とガンマ線照射による多結晶Ce:YAGセラミックシンチレータの発光量に対するデータを取得した.照射により発光量は元の50 60%に減少するが,アニールにより発光量が回復するという結果を得た. 2.国際熱核融合炉ITERにおいて考えられる高放射線照射量に対する知見を得るために原子炉BR-2を用いた照射実験を行った. 3.ITERで想定されているHeフラックス〜8×10^<16>m^<-2>s^<-1>に対し,発光量は良い直線性を示した.フルエンスに対しては二桁程度少ない値まで,照射を行い室温より300℃の方が発光の減少が少ないことが分かった.300℃はITERの第一壁の運転温度であり,好ましい結果を得た. 4.シンチレータの時間分解能を明らかにするために発光の減衰時間測定を行った. 5.燃焼プラズマ計測時にガンマ線によるバックグランドノイズの評価を行った. 6.ITERへの損失アルファ粒子検出器の設置に向けた検討を行った. 7.LHD損失イオンプローブに本プロジェクトで開発した多結晶Ce:YAGセラミックシンチレータを組み込んだ.高時間分解能に対応するため,データ収集系の改良も行った.LHD実験において損失高エネルギーイオンを計測し,ITER損失アルファ粒子検出器のための多結晶Ce:YAGセラミックシンチレータの有用性を実証することができた.
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