研究課題
特定領域研究
我々は本計画では計算機マテリアルデザイングループと緊密な連携をとりながら、スピントロニクス候補材料の構造と電子物性について、ラマン散乱および紫外/可視/赤外分光の立場から実験的に明らかにし、理論予測の検証を行うことを目標として研究を行った。具体的にはワイドギャップ半導体ベース磁性半導体の磁性不純物近傍の局所構造を評価した。希薄磁性半導体としてZnO:Coの微結晶と、マルチフェロイックス材料(ここでは反強磁性と強誘電性の融合材料)としてBiFeO_3、およびYMnO_3の多結晶、単結晶試料を取り上げ、電子顕微鏡観察や、ラマン散乱を中心とする振動分光法により基礎的物性を調べた、前者ではCoのZnサイトへの置換が行われる濃度限界を探った。これまでの研究では、10nm程度のナノ結晶においてもバルク結晶の時と同様にCo濃度は3mol%程度が不純物相析出を伴わないドーピング限度と思われる。現在、他機関との共同研究により磁気的性質の実験的検討に着手している。今のところ明白な強磁性的秩序発現は観察されていないものの、幾つかの特徴ある兆候も見られていて今後の進展に大いに興味がもたれる。後者のマルチフェロイックス材料では、広範な温度領域の評価をもとに相転移近傍の異常が観測された。代表的な成果として、これまで詳しいフォノンスペクトル情報が皆無であったBiFeO_3系で温度変化と共にスペクトルが観察された。また特にYMnO_3ではネール点以下で明瞭にスピン-フォノン間の結合する模様が観察された。今後、フォノンスペクトルの詳しい解析をもとに転移点近傍の格子変形を調べ、これとスピン秩序形成がどのようになされていくのか、マルチフェロイックス材料固有である強誘電性発現とどう関係していくのか、微視的視点に立った解析に興味がもたれる。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (5件)
International Conference on Quantum Simulators and Design (QSD2006), Programs and Abstracts (Hiroshima, 2006)
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